歯科医院スタッフ向けChatGPTプロンプト入門
ChatGPTを使ってみたけれど、返ってくる文章が「なんだか普通」「そのまま使えない」と感じたことはありませんか。原因の一つは、AIの性能ではなく依頼の条件が曖昧なことです。ChatGPTへの指示文はプロンプトと呼ばれますが、特別な専門用語を覚える必要はありません。仕事の依頼を同僚に伝えるときと同じように、相手・目的・条件を整理するだけで変わります。
プロンプトは「5つの情報」で作る
- 役割:誰の立場で書くか(例:歯科医院の受付担当)。
- 目的:何を完成させたいか(例:キャンセル連絡のお願い)。
- 対象:誰が読むか(例:初診の患者さん)。
- 条件:文字数、語調、入れる情報、避けたい表現。
- 出力形式:見出しと本文、箇条書き、表など。
すべてを毎回書く必要はありません。ただ、期待した回答が出ないときには、どの条件が足りないかを見直しましょう。
そのまま練習できるプロンプト5選
例1:受付に掲示する案内文
あなたは歯科医院の受付担当です。患者さんへ「保険資格の確認に必要なものを忘れずにお持ちください」と案内する掲示文を3案作ってください。各案は見出しと本文に分け、本文は80字以内。丁寧で、責める印象のない表現にしてください。具体的な制度や必要書類を断定せず、医院で確認するための仮案にしてください。
制度に関係する案内は、運用時点の公的情報や医院の受付ルールとの照合が必要です。AIが書いた説明だけを根拠に掲示しないでください。
例2:院内ミーティングの議題
歯科医院のスタッフミーティング用に、20分で話し合える議題を作成してください。テーマは「予約時間どおりに診療を始める工夫」です。現状の課題整理5分、アイデア出し10分、決定事項の確認5分の構成。最後に担当者と期限を記入する欄を設けてください。
AIに実際の問題点を決めつけさせず、あくまでも話し合いの枠を作ってもらう使い方です。
例3:患者さんへの一般的なお願い文
歯科医院のWebサイトに載せる、予約変更のお願い文を作ってください。変更が必要な場合は早めに電話していただきたいことを伝えたいです。見出し1行、本文140字以内。患者さんが責められているように感じない言葉を使い、キャンセル料や具体的な期限は書かないでください。
例4:新人スタッフの研修チェックリスト
歯科医院の新入スタッフ向けに、受付業務の初週に確認したい基本項目を10個、チェックリスト形式で提案してください。電話の取り次ぎ、来院時の案内、院内の連絡方法など一般的な業務を対象にし、個別の医療行為や法令判断を含めないでください。医院で追加・削除できる草案として作ってください。
例5:求人ページの文章
歯科助手の求人ページ用に、医院紹介文を200字程度で作成してください。確定情報は「研修時間を確保している」「チームで業務を相談する」「駅から徒歩圏内」の3点です。給与・休日・福利厚生は不明なので創作しないでください。堅すぎない、誠実な文章にしてください。
AIへの指示を改善する「追いプロンプト」
最初の回答が長い場合は「要点を残して半分の文字数にしてください」。表現が堅ければ「小学生の保護者にも伝わる言葉にしてください」。項目が抜けていれば「日時と問い合わせ先を記入できる空欄を追加してください」。このように短い追加指示で調整できることが、対話型AIの便利なところです。
一度に完成形を求めるより、下書き→修正→確認の3往復を想定すると、文章の品質が安定します。複数案を出させて「A案のわかりやすさとB案の丁寧さを合わせて」と頼むのも有効です。
スタッフ同士で使うときのテンプレート
文章作成を属人化させないために、院内で使い回せる空欄付きの形にすると便利です。
あなたは【担当・役割】です。【使用場所】で使う【文章の種類】を作成してください。読み手は【対象】です。伝える事実は【確定情報】のみです。文体は【丁寧/親しみやすい】、文字数は【○字程度】、形式は【見出し+本文】。不明な情報は補わず、確認が必要な箇所を最後に箇条書きで示してください。
このひな形を院内共有フォルダやマニュアルに保存しておけば、AIに慣れていないスタッフも取り組みやすくなります。ただし、患者情報や内部情報を投入する許可まで与えるものではありません。
よくある失敗と修正例
文章がきれいだが、内容が事実と違う
「書いていない事実は追加しない」「不明事項は空欄にする」と指定してください。営業時間、電話番号、価格、待遇などは人が原本と照らし合わせます。
患者さんに伝わりにくい
「専門用語を使わず、1文を短く、箇条書き中心で」と指定します。ただし医学的な意味が変わっていないか、医療職の確認が欠かせません。
何案も出て選べない
「3案に絞り、それぞれの特徴を1行で比較」と頼みます。採用基準を「医院の印象に合うか」「一読でわかるか」に絞ると決めやすくなります。
情報の扱いで気をつけること
患者氏名、予約表、顔写真、診療録、スタッフの個人評価などは、一般的な公開AIへ安易に入力しないでください。架空例で試した後、院内の情報管理ルールやサービスのデータ取り扱い条件を確認して運用範囲を定めます。個人を特定できなくしたつもりでも、組み合わせで推測される場合があります。
まとめ:上手な依頼は「具体的な仕事の発注書」
プロンプトを難しく考える必要はありません。誰に、何を、どのように伝えるのかを整理し、足りない条件は追加で伝えるだけです。まずは受付掲示か会議議題など、内容を人が確認しやすい業務から1つ試してみましょう。

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